固い結束に向きあう恐さ『ローズ・マダー』
『ローズ・マダー』(新潮社/スティーヴン・キング,訳:白石 朗)
ドメスティック・バイオレンスに苦しむ女が、意を決して逃げ出す。
夫は警察官だ。
彼が殴ってくるたびに、指にはめた警察学校の卒業記念リングの、学校名が肌に刻まれる。もちろん、殴ってくるのは目立たない腹部など。
「階段から転げ落ちた」にしては不自然な傷も、病院ではいぶかしがられても、最終的に処理がまわる警察では、みな夫の仲間ばかりである。
警察が汚職ばかりであてにならない、と言うより、よほどリアルで怖い。
現代版『人形の家』かと思いきや、後半は異世界に飛んでしまい、夫は化け物に変化する。
キング本人の評価は低く、どうも売れ行きも良くなかったらしい、不遇な作品だけれど、嫌いではない。
指輪と刻印から思い出したのは、映画『狩人の夜』(監督:チャールズ・ロートン、出演:ロバート・ミッチャム)。
拳固をつくった側面の指に「LOVE」「HATE」の刺青を持つ男と、二人の子供の話。
刺青だから、それほど凹凸はないのに、その手で殴られたら痕が残るだろうかと思いながら観ていた。
そのふたつは、殴るに至る理由をあらわしてもいるだろう。
後半、いよいよ子供の襟首に手がかかりそうなところで、スローモーションになる場面があり、「悪夢のなかでは、いつも足がのろい」ことを思わされる。
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