文化・芸術

2008年8月22日 (金)

枠を持ち込む考え方『野生の思考』

野生の思考

『野生の思考』(みすず書房/レヴィ・ストロース)

もともと、人類学に対する興味があった。
何で「構造主義」でくくられる、他の論者とレヴィ・ストロースにはへだたりがあるように思えるのか。
日々、システムがどうのこうの、構造的にどうのこうの、という「構造」「システム」は、どういう意味を持たせたくて使っているのか。
確かめたくて、読んでみたのは去年。
読み終わった直後には、現代からみれば、なにも特別なことは言っていないことがわかった、と思ったはずが、まだはっきりわかっていない。

自分の理解している論理とは、まったく別の論理でできあがったものを、こちらのやり方で批判することは、フェアじゃありません、ということだったか。
この考え方が、他のポストモダンの考え方に行き着くには、つながりは無いとは言えないけれど、飛躍があるようで、妙な気がしている。別物とすら思える。

時代背景や、モースの贈与論など、一回くらい聞いたことがないと、読み通すのはつらいと思う。

サルトルなどは全然知らないので、また他をあたってから読み直そうと思っている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月11日 (月)

人類学者からみた世界『文明の生態史観』

文明の生態史観 (中公文庫)

『文明の生態史観』(中公文庫/梅棹忠夫)

内田百鬼園、山本夏彦のような「がんこじじいに思わせて、ちらと茶目っ気がのぞく」文章でいいなぁ、と思っていたら「それを書いたのは若いときだよ」と連れから指摘された。
書かれた歳は措くとしても、好みであるのにかわりない。

p.29~「植民地と英語」のくだりで、大阪駅を通勤につかう際、どうしたって目につくものがあるという。「OSAKA STATION」「POST OFFICE」と書かれたネオン・サインである。

 わたしはまえから、こういうのをみて、まいど憤慨していた。どういうつもりだ。国民の、国民のための、駅であり郵便局であるはずだ。だいたい、 タバコの名前もけしからん。日本のタバコに、PEACEとはなにごとだ。植民地根性もいいかげんにするがいい。わたしは、日本における英語の無意味なはん らんに、かんしゃくをおこしたのである。(p.29-30「植民地と英語」より引用)

インドやパキスタンにおもむいて、帰ってきた際に印象ががらりとかわったことを述べ、文字記号の役割に話がおよぶのだけれど、書き方がつねに、そ のときどきに応じた正直さが感じられる。わからないものはわからないと言う、誠実さがある。「おまえの宗教はなにか」と問われて、さしあたり「仏教」と答 えることにしている際の心情(p.48)なども、どうだ。たしかに、日頃さして熱心でもないくせに、知らずたよりにしているような自分をも見る思いがあ る。
p.104「系譜論と機能論」あたりからは、ぜんたい、文化とはなにごとを指し示すのかと明らかにしようとする。文化は由来をもってとらえようとするのでなく、くみあわさったかたちをみてとらえてみよう、という。

 建築にたとえていえば、個々の材木が、吉野杉であるか米松であるかをいうのは、系譜論の立場だ。できあがった建築が、住宅であるか学校であるか をいうのは、機能論の立場である。それは、文化の素材の問題ではなくて、文化のデザインの問題であり、いっそうはっきりいえば、生活主体、すなわち、文化 のにない手たる共同体の、生活様式の問題なのである。(p.104より引用)

述べられている言説があたらしいかふるいかは知らないが、こうして眼前のものごとを切り分けていく姿勢は、古びることはないだろうと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 9日 (土)

きれいな骨になるまで『小さな骨の動物園』

小さな骨の動物園 (INAX booklet)

『小さな骨の動物園』(INAX出版)

もとは巡回していた展示会の図録。
うっかり見損ねたのがくやしかったあまり、これだけでもと買い求めた。

蛇の細かい肋骨など、単純に造形の楽しさおもしろさに見惚れたのちに、収録されたエッセイでそれら標本がつくられる過程に目をむけることとなる。
おそろしく手間がかかっているのだ、という苦労だけの話ではない。どの文章からも、骨が好きで好きで、心から楽しんでいる!という思いに満ちている。
仕事を楽しくんでしまっている人の話を聞くのは、いつだって楽しい。

「鯛の鯛」の存在は聞きかじったことがあったけれど、見たことはなかったので見ることができた。
猫のペニスにはトゲがあり、出し入れする時にはメスはとても痛い。という話は、前にどこかで見て知っていて、ここで目にし、おまけに各動物のペニスの骨まで見るとあらためて興味深い。

------------------------------------------

化粧品で「ボビイブラウン」というブランドで、アイボリーがかったアイシャドウの名前を「ボーン」と名づけているのは、センスがいいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)